大阪大学大学院
医学系研究科心臓血管外科教授
澤 芳樹

澤実行委員長からのメッセージ

いのちは、自然科学の摂理に基づいた精度の高い神秘で尊い営みである。健康とは、分子/遺伝子から細胞/組織/臓器に至る生命体の小宇宙の中で、高い確率でerrorが排除されていることで保たれている無償の財産であるが、病んだときに初めてその存在と価値を知る。人は生まれてから自身の人生を努力して歩み続けやがて死ぬ。必ず死ぬ。いろいろな死がある。文明の発達は、死が毎日自分と隣り合わせであることを忘れさせ、死生観が非日常のものとなった。しかし地上には永遠に死の恐怖があり、病を繰り返しながら、やがて死ぬから医学がありそして医療がある。人はなぜ生まれ、なぜ死ぬのか。いのちは永遠でないから美しく尊い。これほど単純で正解のない問いはない。だから、みんなで考えよう。命、医の知、inochi。